特集:
2008/06/17 日記<新銀行東京>
新銀行東京
株式会社新銀行東京(しんぎんこうとうきょう、英語|英称:''ShinGinko Tokyo, Limited'')は、東京都新宿区西新宿に本店を置く日本の銀行である注:名称は似ているが「東京都民銀行」とは別の組織である。。2003年に東京都知事石原慎太郎の選挙公約(中小企業対策)に基づき、ほぼその即断で、既存のBNPパリバ信託銀行を公有化する手法で発足したことから、「石原銀行」とまで評される東洋経済(2007/06/13号)500億円超の大赤字 再建の道筋なき「石原銀行」の迷走
しんぶん赤旗 2008年1月17日「都設立の“石原銀行"/中小企業融資5割切る」日経新聞特集2008年2月21-22日「石原銀行の誤算」日本経済新聞社説 2008年2月22日「『石原銀行』は幕を閉じる時だ」日刊ゲンダイ 2008年03月11日「石原銀行 役員トンズラ、ズサン計画…」河北新報社説 2008年03月11日「『石原銀行』問題」毎日新聞社説 2008年3月13日「石原銀行 ひど過ぎる知事の責任逃れ」中日新聞社説 2008年3月13日「石原銀行 まだ傷口を広げるのか」。
概説
商号の「新銀行東京」は、日本の銀行で唯一「銀行」という単語が商号の末尾ではなく途中に入る。同じく石原慎太郎が推進者である「首都大学東京」と命名方式が共通している。銀行法第6条では「銀行は、その商号中に銀行という文字を使用しなければならない」と定められているが、その位置(例えば末尾に限る等)までは定められてはいない。成立の経緯から東京都が1000億円を出資、民間企業数社も出資(当初目標額は500億円東京都庁記者発表資料 2004年11月28日)し、資本金・資本準備金計1187億円で発足している。株式の84.22%を東京都が保有するwww.sgt.jp。
設立経緯
2003年、東京都知事石原慎太郎の主導で東京都が策定した「東京発金融改革」を旗印に『資金調達に悩む中小企業を救済すること』を理念として誕生した。同じ時期、BNPパリバは日本での事業見直しを行っており、傘下のBNPパリバ信託銀行の売却を検討していたところだった。この両者の利害が一致した結果でもある。中小企業向けの融資、一般顧客のICカードの活用を中心とした利便性の高い金融サービスを東京都内で提供できる銀行として、BNPパリバ信託銀行(1999年設立)を2004年4月1日に買収した上で新たに法人を設立し、2005年4月1日に開業。設立時の経緯から信託銀行に区分されているが、金融庁の分類では「新たな形態の銀行|新たな形態の銀行等」として、ネット銀行など、新規参入銀行とともに位置付けられている。新銀行東京のオリジナルの発想は1995年に都知事選に出馬して青島幸男に敗れた大前研一のものだが、石原が作ったのはおよそ異なるものと大前は主張している「SAFETY JAPAN」掲載コラム:大前研一「産業突然死の時代の人生論」第68回「"東京都の銀行"、巨大赤字の真相」。
全銀協との関係
設立経緯から、全国銀行協会(全銀協)の役員から非難・反発を浴びた。同協会には非加盟である。ATMもMICS(全国キャッシュサービス)に未接続となっている。特に、三菱東京UFJ銀行の相談役・三木繁光や、全銀協会長を2度務めた三井住友銀行前頭取の西川善文(現・日本郵政社長)といった「郵政民営化は銀行に対する民業圧迫」「自治体による金融機関の設置は時代錯誤」とする論者の反発が強かったとされる。全銀協が発行する「キャッシュカードや通帳等の盗難・紛失時のご連絡先 銀行の緊急時連絡先一覧(平成16年7月現在(版)・平成17年度版・平成18年度版・平成19年度版)」にも、同行に関する記述はない。
公共工事代金債権信託
中小建設業者向けの「公共工事代金債権信託」は、請負金額に対する工事出来高から請負契約に基づく前払金を差し引いた額を信託債権元本額として信託受益権を投資家に販売することにより、建設業者が前払金を使い切った後、公共工事を完成するまでのつなぎ融資の機能を持っている。新銀行東京以外では事業協同組合などの組合組織でしか取り扱っていないので、公共工事発注機関の東京都と信託銀行の新銀行東京の持ち味を生かした画期的なスキームだが、#東京都発注の公共工事のみが対象。都内区市町村発注の公共工事も適用外。
預金
東京都が定めた当初の基本計画では2008年までに1兆2000億円余の獲得を目指すも次第に目標が引き下げられ、高金利の定期預金キャンペーンを張ってもなお4284億円(2007年9月現在)の預金残高にとどまっている読売新聞 2008年3月17日「新銀行東京、11年度までに預金量を20分の1以下に」。
利息付与時期
普通預金利息は、2月と8月の所定の日に1円未満は切り捨てした上で残高に付与される。所定の日とは、第3土曜日に決算し、入金は翌日の日曜日付けである。毎日の最終残高1000円以上のものを対象に、付利単位は100円。
歴代代表執行役
店舗
2005年は、4月1日に東京都千代田区大手町 (千代田区)|大手町の本店、2005年5月13日に新宿出張所(新宿区)と蒲田出張所(大田区)、2005年7月1日に立川出張所(立川市)と上野 (台東区)|上野出張所(台東区)、錦糸町出張所(江東区)を開店させた。2006年度は順次設置し、都合9店舗体制となっていた。その後、池袋出張所(豊島区)、渋谷出張所(渋谷区)が2006年5月に、新橋 (東京都港区)|新橋出張所(港区 (東京都)|港区)が9月に開店した。また、融資専門の拠点として立川出張所八王子融資推進室が8月に開設した。シティバンク銀行(当時は、シティバンク、エヌ・エイ (在日支店)|シティバンク、エヌ・エイ)や新生銀行の都内店舗並の展開をしていく予定としていたが、下記の事情により、新橋出張所以降の出店については流動的である。また、2007年度の第3四半期には、3店舗がブランチインブランチ化した。2008年度当初には、すべての店舗が本店にブランチインブランチ化する計画である。ほぼすべての連絡業務はコールセンター(なお、コールセンターの所在地は、イオン銀行の本店ビルの3階にある)で行っており、本店および各出張所の電話番号は開業当初は非公開であったが、2008年5月の本店移転時より、本店の番号が公開されている。
ATMと振込
ATMは沖電気工業|OKIを採用している。また、かつて設置されていた店舗外については、コンビニATMでも利用されるタイプのOKIのものが中心で、通帳の利用は出来なかった。ただし、明細は同社のBankIT同様、小さい明細となる。なお、店舗外に設置されたATMは事業の大幅縮小のため2007年8月31日23:00をもって稼働を停止し、後に順次すべて撤去された。振込の際に、現金自動預け払い機|ATMの画面や振込カードにおける金融機関の表示に「新銀行東京銀行」という表示になるケースが一部の銀行で確認されている。また、他行ATMからの振込みの場合、「信託銀行」に区分される場合も多い。自行以外の使用可能ATMは以下である。
沿革
中井駅に設置されていた新銀行東京の現金自動預け払い機|ATM
最近の動向
赤字決算
2006年6月1日、開業初年度だった2006年3月期の単独決算を発表した。経常損益は209億円の赤字であり、最終赤字も同じく209億円であった。2006年11月30日には、同年9月中間期の最終損益が154億円の赤字(前年同期は95億円の赤字)になったと発表した。中小企業向け融資が相次いで回収不能になったため、不良債権処理に伴う損失が予想を上回り、計画より赤字幅が54億円拡大した。この結果、累積赤字は456億円になった。2007年6月1日には、2007年3月期決算において547億円の赤字となり、累積赤字が849億円に上ったと発表した。同時に、八王子融資推進室を含む10店舗中、2店舗を閉鎖する方針も明らかになっている。8月10日付けで、八王子融資推進室を9月18日に母店の立川出張所に統合、錦糸町出張所(空中店舗)を10月9日に上野 (台東区)|上野出張所内に、蒲田出張所を10月1日に新橋 (東京都港区)|新橋出張所内にそれぞれブランチインブランチとすることを発表した。従って、拠点は当初の発表より1店舗増えて3店舗削減となるが、口座店は従前通りそのまま存続する形となる。さらに、2007年8月31日をもって自前の店舗外ATMを全廃し、セブン銀行・ゆうちょ銀行・ビューアルッテなどの提携ATMにシフトした。2007年3月期決算発表と同時に、トヨタ自動車出身の代表執行役仁司泰正が2007年6月22日に退任し、後任を旧埼玉銀行出身で元りそな銀行取締役(関連会社の副社長に出向後、りそなグループ外の会社の取締役を務めていた)の森田徹とする人事を発表した。2007年10月26日には、12月10日付で、池袋出張所を新宿出張所内にブランチインブランチとすることを発表した。2008年3月期の中間決算を発表した2007年11月30日、森田徹は体調不良を理由に退任、後任に東京都港湾局長の津島隆一を代表執行役に選任したことが発表された。その際、2007年11月30日発表の中間決算では、累積赤字が936億円まで膨れあがり出資金全体の8割に迫った。外資系投資ファンドと都が200億円ずつ折半出資することで事態の打開を進めていたが、外資系ファンドが出資を見送る公算が大きくなり東京新聞2008年2月13日 朝刊:都に300-400億円要請へ 新銀行東京 増資引き受け議会、反発も、民間の出資企業も監査法人の指摘で引当金を積む事態と認定され、結局、東京都単独の追加出資を中心とする経営救済策を実施する方向になっている(後述)東京新聞2008年2月14日 朝刊: 新銀行東京 都が400億円出資方針 経営難救済へ税投入。
格付け低下
2007年1月25日、スタンダード&プアーズ (S&P) は新銀行東京の財務基盤の健全性維持に対する不確実性が高まっているとし、長期カウンターパーティ信用格付け|格付けのアウトルックを「安定的」から「ネガティブ」へ変更した。2007年6月11日、スタンダード&プアーズは長期格付けを「シングルA」から2段階下げて「トリプルB+」に変更した。今後の見通しについても「ネガティブ」のままであった。2008年3月19日、スタンダード&プアーズは経営再建中の新銀行東京の東京都議会で審議中の400億円の追加出資案が可決されても「4年後に黒字化する再建計画の達成は困難」かつ追加出資後の都の財政支援は難しいとみられることから、長期格付けを「トリプルB+」から「トリプルB-」(投資適格とされる10段階のうち最下位)に2段階引き下げた。長期格付けの見通しは「ネガティブ(弱含み)」とした。短期格付けも「A2」から「A3」に1段階引き下げた。
破綻直前の「役員友人」の会社に3億円融資
2006年に財政破綻したベンチャー企業に対し、破綻の約2カ月前に3億円を融資していたことが分かった。当時の銀行幹部によれば、3億円の融資は役員会に諮る融資額に達していたにもかかわらず、「役員の友人の会社だからいいんだ」という理由で審査も行われずに融資が決定したとされる。融資直後の貸付先の経営破綻は、与信審査をする通常の銀行経営では有り得ない朝日新聞 2008年2月26日「新銀行東京、「役員友人」の会社に3億円融資 直後破」。
揺らぐ目的
本来は中小企業を救済するはずだったが、貸出総額に占める中小企業の比率は、2006年3月(開業初年度末)の62.5%をピークに、2007年3月は51.5%、2007年9月末時点の貸出残高2218億円に対して中小企業向け融資は1046億円と貸出金全体の47.2%と半分を切るまでに低下しているなど、資金繰りに苦しむ中小企業の支援という設立目的も揺らいでいる。2008年3月18日、2005年の開業当初から、中小企業の資金繰り対策として看板に掲げてきた無担保・無保証融資を不良債権の急増で継続が困難と判断、再建計画の一つとして2008年4月以降原則廃止することを決定した日本経済新聞 2008年3月19日「[http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080319AT2C1801O18032008.html 新銀行東京、無担保・無保証融資を廃止」。
経営再建策
2008年2月20日には、都への400億円の増資要請などの再建策を発表し、拠点を1箇所に集約する方針を固めた。それを承けて、2008年2月26日、3月24日付で立川出張所以外の全出張所を新宿出張所内にブランチインブランチとして移転させ、さらに5月7日付で、本店を新宿出張所の位置に移転し、同時に立川出張所を本店内に移転させ、全拠点をブランチインブランチ化する形で1箇所に集約することを発表した。ブランチインブランチは継続するため、口座店は、従来通り9店舗となる。追加出資のための補正予算を都議会予算特別委員会で審議する過程でも、経営再建案に対しさまざまな疑問が示されている。
過大なシステム投資とコスト
システムは、2005年の開業前、東京都が作った基本計画に基づき設計され、預金や融資などの管理システムが76億円、ATMやコールセンターなどの情報を取り扱うシステムが46億円、行内連絡用などのシステムは1億7000万円など総額124億円(開業時のシステム機能不足での改修費用12億円も含まれる)が投じられた。しかし、当初想定した事業規模が過大であり、ATM・コールセンター・ICチップ入りのキャッシュカードとことごとく利用状況が低調で、店舗外に設置したATMの全面撤去・コールセンター縮小・ICチップ入りのキャッシュカードの発行停止に追い込まれ、監査法人からシステム投資の大部分が「利益を生まないシステムは資産として計上できない」との理由で、07年3月期決算で109億円、07年9月期決算で2億3千万円の減損損失の計上を求められ、また、業務契約の中途解約による違約金なども35億円発生し、特別損失が約150億円にも達していた東京新聞 2008年3月14日「新銀行東京 コスト、経常収益の5倍 設立後4年実績 店舗などに過大投資」
朝日新聞 2008年3月18日「新銀行東京、109億円システム「無益」」
読売新聞 2008年3月18日「新銀行東京、システム費用に124億円…過大投資の指摘も」。店舗外設置ATMの全面撤去やブランチインブランチによる実質的に1店舗体制になれば業務が簡素化し大きなシステムは必要なくなるが、銀行業務を継続する限り既設のメインフレーム・コンピュータを廃止することはできず、今後も情報システムの構築、運用に掛かる費用は毎年10億円強と見積もられ、再建計画においても圧縮できないコストとして重くのしかかることになるITmedia エンタープライズ 2008年3月19日「『石原銀行』の情報システム:泥沼の新銀行東京、システム投資をどう減らすのか」。
石原慎太郎への責任追及
400億円もの追加投資は都民1人当たりに1万円以上もの負担を強いる。野党側はこの累積赤字、追加出資を非難し、新銀行東京を強いリーダーシップで生み出した石原への批判を強めている。都知事である石原は「設立理念は正しかったが、経営がまずかった」「(旧経営陣を)紹介されて、それを受けたことの責任は感じる」等の見解を表するに留めた。なお、設立に関して都議会では日本共産党以外の会派は賛成(「東京・生活者ネットワーク」は反対意見を述べたものの、予算案には賛成)した経緯がある。経済界では、設立理念そのものを「不良債権の温床」と批判する向きが多かった。与謝野馨も「止めるなら今」と進言するなど、政界からの批判も起こっている。石原は議会答弁や記者会見などで「私だったら、もっと銀行を大きくできた」と発言しているが、この発言に対しては「中堅・中小企業に対する融資事業は急拡大が望める事業ではない」との指摘がある日経BP-ITマネジメント:鈴木貴博「石原都知事が銀行を大きくできないワケ」2008年3月19日。主に石原の三男石原宏高の選挙地盤の品川区と大田区の企業に融資していたことから、身内の選挙対策ではないかとも批判されているFACTA2007年2月号「重篤『慎太郎銀行』の深き闇」週刊現代 2007年1月6・13日号「新銀行東京設立の『真』の狙い」。石原が提案し、都の若手芸術家育成事業「トーキョーワンダーサイト」から絵画3点を購入していたことも判明した。毎日新聞 2008年3月14日「新銀行東京:石原知事の提案で絵画購入」。
都議会への責任追及
2008年3月に都議会は400億円の追加出資を自民党、公明党の賛成により可決した。しかしながら、有権者の多く2008年3月25日 読売新聞 「新銀行東京 追加出資「反対」73%」は追加出資に反対しており、地方自治法に基づく両党所属都議の解職請求の動きが都内各選挙区で始まっており、有権者の1/3以上により成立する可能性が高まっている。
口座開設にあたって
2008年3月末で口座開設申込書の資料請求を受付停止し、4月末で郵送による口座開設申込を終了。今後は店頭での口座開設になるが、既存口座を減らす方針もあり、現状では口座開設は著しく難しい状態で、店頭に出向いても口座開設を受け付けてくれない事例が多く、他行よりハードルが著しく高くなっている。
脚注
関連項目
外部リンク
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